羽田野直子です。
去年観た映画の中でベスト3に入る映画が再上映されることになったのでお知らせします。
吉祥寺のバウスシアターで今月20日(土)から23日(火)の4夜に
21時から各1回限り上映される、
ジム・ジャームッシュ監督の「リミッツ・オブ・コントロール」です。 

 

 

一昨年、工藤夕貴さん主演の恋愛映画の脚本をと依頼されて彼女と会ったときに20年ぶりにジャームッシュ(「ミステリートレイン」以来)に呼ばれて来週マドリードで撮影なんだと聞いて即!現場を見に行きたいって言ってしまいそうになったくらい、楽しみにしていた作品です(その後私が書きあげた脚本は未だ映画になっていませんが)。

 

彼女は「分子」について主人公の男に語りかける役でした。
どんな作品か?
簡単にいえば007をジャームッシュが撮るとこうなるみたいな(笑)。
映画は視覚の刺激から始まるのだという当たり前のことをしっかり気づかされる映画です。
音響効果もこの作品では際立っています。
ゴダールの「ヌーヴェルヴァーグ」に続くくらいに。
アメリカ映画を普段さほど見ない私が常に新作を気にしているジム・ジャームッシュの「リミッツ・オブ・コントロール」をみなさん是非ご覧ください!

 

・・・なんて選挙演説の候補者名連呼みたいになってしまいました。
でも実際連呼したい気分です。
なぜならいまの日本ではハリウッドの大作でさえなかなかきびしい状況ですから、ヨーロッパやアジアの映画はたとえカンヌでパルムドールをとっていても配給会社が買おうかどうか二の足を踏むとさえ聞いています。
数年前に邦画の配給収入か観客動員数が洋画のそれを抜いたから「邦画隆盛再び!」のようにとらえた向きもあったようだけれど(もちろんうれしいことではある)、でもそれはそんな単純に喜ばしい話ではないと思うのです。
そのことがいまの若い人たちの「車要らない、海外旅行興味ない」という内向きな閉じた感じの傾向と無縁ではなく、むしろ同根だと考えているのは私だけではないでしょう。
私は普段学生にも「映画を撮りたいのならちっぽけな自分に拘泥する自分探しなどやめなさい。世界に向かって自己投企するくらいの心意気を持ちなさい」とよく言います。
自分の可能性を信じられないのは悲しいことです。
自分が知らなかったものにぶつかり、恥をかいたり、痛い思いをしてこそわかる(実感できる)世界の広さや大きさを畏れないで欲しいと思います。
海外旅行するお金がない人に、映画は未知の世界をさすらうワクワク感と心もとなさを感じさせ、同時に人間という存在のちっぽけさをやさしく呈示してくれるでしょう。
・・・やや話が広がり過ぎたきらいがありますが。
百聞は一見にしかず。
とにかく吉祥寺バウスシアターへいらしてください。