羽田野直子です。
「ニ月は三寒四温」というのにずっと寒い日が続いています。
で、昨日のことを書きます。一日時間を戻しておつきあい下さい。
(24時間前に戻る・・・・・・)

 

今日は朝から霙が降っていて土曜日でしかも何の約束もないのをいいことにベッドから出ずにずっとごろごろしていました。
あ、でも!今日はバレンタイン・イヴ。
手渡しでなく配送を頼むなら今日が締め切りです。
お世話になった方にお中元よりも、お歳暮よりも、インフォーマルな感じで贈るものとしてチョコレートほど気楽なものはないでしょう。セーターにもう一枚カシミアのフードつきパーカーを重ねたうえにダウンを羽織ってマフラーをぐるぐる巻きにして出掛けました。

 

吉祥寺の伊勢丹は来月14日で閉店。
だからいつの間にかどこもかしこも催事場状態になっています。
その一角にチョコレート売り場はありました。一度ぐるりと全体をまわってみます。ジャン・ポール・エヴァン、ゴディバ、デメル、アニヴァーサリー、モロゾフ、etc・・・・マフラーをとったのに気がつくと汗をかいていました。

 

「今年は14日が日曜日だから、会社で義理チョコ無しだ」と数日前句会で男子の句友がさびしそうに言ってたっけ。
それなのにこの混みようと熱気は・・・。
チョコレート業界は一年の生産量の結構な割合をこの時期に売って利益を得ているのでしょうけれど「日本型バレンタインデー」がこんなにうまく定着し、贈る形態も広がっていくなんて初めの頃(多分昭和40年代)誰も予想しなかったに違いありません。
今年は「友チョコ」が女子高生の間で流行っているらしいですよ。
私はチョコレートが好きです。出来れば贈るよりも自分がいただきたい(笑)くらい。

 

以前デルフト在住の親友が車で国境を越えてアントワープに連れて行ってくれたらそこは天国でした。ベルギーはなんと言ってもチョコレートの国、名も知らぬショコラティエのごく普通に見える板チョコも美味しい。ノイハウスだろうが、レオニダスだろうが並ばなくても買える!のですから。
ヨーロッパの人は頑固です。EU統合の時、ベルギーはチョコレートの定義をめぐって10年以上も譲らなかったというのです。要するにカカオの濃度が何パーセント以上のものをチョコレートと認めるかで。
でもベルギーチョコの代表格としてもっとも認知度の高いゴディバはこのまま日本に定着し続けるでしょうか?
チョコレート好きにとっては美味しいチョコレートがいつでも買えるという意味においてゴディバの存在は確かに有り難いことです。
でもこの不況下に、狭い吉祥寺だけで何軒もお店があるのはどうでしょう?
「屏風と商いは拡げ過ぎると・・・」の譬えもあります。
希少性を有り難がる性向は日本に限らずどこの国でも見られることのようです。

 

伊勢丹が先か、東急が先かわかりませんが、最初のデパートが吉祥寺に出来たときにはさぞ大盛況だったでしょう。
呉服店から発展して小売りという業態の、ある完成形に達していたかに見えていた百貨店(デパート)もこれから変化を余儀なくされているのです。
デパートならではの高額品「ご・ほう・び」(呉服・宝飾品・美術品)も売れなくなってしまったそうです。
「もの珍しさ」の時期を通り越してちゃんと定着し、さらに発展していくだけのものがあるかどうか、いま空前絶後の不況下でその試練に直面している人やものやプロジェクトが山ほどあるのでしょう。
止めるにも続けるにも勇気がいる、その大変な状況はこの年度末に向かってさまざまな結果となって現れてくるでしょうね。
そんなことを考えながら、化粧品売り場だけかろうじてデパートの体を留めた、人がごったがえしている伊勢丹をあとにしました。