昨年脚本を書いた
ショート・アニメーション『未来のいのちへ』
アフレコに立ちあうために大阪へ行って来ました。
大阪にひとりで行くのは初めてです。

 

仕事がらみでしか行っていないので(そうすると同行の方にお任せの車移動ですから)大阪の街を歩くのも、地下鉄に乗るのさえ初めてです。
前夜はちょっとわくわくしてなかなか寝付けませんでした(子どもみたいなのですが、遠出の時はいつもそうです)。
寝不足とのぞみの低周波音が大の苦手な私は電車の中で死んだふりをしたように眠り続け、新大阪に降り立った時は頭の芯が痺れたようでまだゆらゆらしていました。

 

でも仕事の前ですし何かお腹に入れておかなければなりません。
駅なかを物色してみます。
温かい麺なら・・・と思って石挽きのお蕎麦屋さんのきつねにします。
関西だからほんとうならおうどんですが、こちらのお店の方が美味しそうだったので。

 

関西風のお出汁はやはり美味しいですし、ふっくらのきつねと刻んだ青いお葱もお蕎麦もきりっとして良かったのですが、まだお腹の中もゆらゆらしていてあまり食欲が湧きません。
「お茶入れときましょか?」という店員さんの声に「ありがとう、お願いします」と生半可な関西風イントネーションで答えて周りを見渡すと、女性がみなさん「ヘレカツ丼セット」というヒレカツ丼とお蕎麦のセットをもりもり食べています(しかも東京のよりどちらも大きい)。
「わぁー、さすが食い倒れの町だぁ!」私の食欲も普段なら大したものなのですが、今回は「負け・・・」。

 

地下鉄に乗り換えて、スタジオ入り。
さぁ、仕事です。
みなさん、東京から来た「先生」(関西イントネーションでそう呼ばれるといつもと違う感覚なのがおかしい)の登場に緊張しているのがびしびし伝わってきます。
ここでひとつ陽気なことでも言って和ませるべきかどうかと一瞬迷いましたが、最初は緊張していてもいいかなと思い、慇懃に振る舞います。

声優さんが冒頭の部分、テストでセリフを言い始めました。
「先生、如何でしょうか?」と聞かれます。
さぁ、第一声。
やる気を削がないように、しかもなるほどと思ってもらえるように配慮して発言しなければなりません。

 

アニメーションの声優さんは声色と言い回しだけで演技をしている感じが強いことが時々あって感情がうわのそらに聞こえたり、会話をしている人同士の距離感やセッションしている感じが掴みにくいことがあるのですが、今回の人たちはそうした感じがほとんどなかったので安心しました。
だから「結構です」から始めました。
途中、私が思っている感情の出し方が違う時だけ説明して修正してもらうということを繰り返していきました。
17分ほどの尺の作品ですが、結局途中15分の休憩も入れて約3時間。

 

「お疲れさまでした!」
いい緊張感を持続しながら無事収録を終えました。

 

帰り道、ようやく足が大阪の地べたに着いた感じで空腹を感じました。
新大阪の駅なかで豚まんやシュウマイが人気のお店に入りました。
「おススメは?」と店員さんに尋ねると「海鮮焼そばです」と言うからそれにシュウマイをふたつ頼みました。
「今度は負けへんでぇ」と意気込んで周りを見渡すと、みなさん天津丼と海鮮焼そばのセット(しかもどちらも大きい)。
私の隣のおばあさんまで!

 

また「負けた・・・」(笑)。

 

まぁ、仕事がうまく行ったから良しとしましょう。
しかし大阪恐るべし。