こんばんわ。カクシゴトヤの羽田野直子です。

行きがかり上(?)いろんな仕事をしていますが、
映画を観るのが大好きです。

昨年の東京国際映画祭では、キアロスタミの意欲的な新作や、
韓国生まれでフランス育ちの女性監督、
ウニー・ルコントの「旅人」にしびれました。
仕事柄、あちこちの試写室に行って映画を観ます。
これから折にふれてそうした映画を紹介していきます。
ただ偏っているので参考になるかな・・・。

今夜は建築雑誌『DETAIL JAPAN』の映画特集号に載せた
私の好きな映画10本をあげます。
これで私の嗜好が少しおわかりいただけるでしょう。

 

 ☆コロッサルユース(監督:ペドロ・コスタ)
久しぶりに心地よく打ちのめされた。
それは映画に向かう今までに気がつかなかった感覚を
ざわざわ呼び醒まされたから。 

 

☆永遠の語らい(監督:マノエル・ド・オリヴェイラ)
世界史を映画にするとこうなるのかと納得。
痛烈なアメリカ批判に震えた。

 

☆エル・スール(監督:ヴィクトル・エリセ)
冒頭の静寂。父と娘のダンス、ホテルでの最後のデイト。
思い出すだけで涙が出てくる美しい映画。

 

☆カオス・シチリア物語(監督:タビアーニ兄弟)
とにかく美しい。
なくしたものへの追憶をかくも見事に映像化できるなんて。

 

☆新ドイツ零年(監督:ジャン=リュック・ゴダール)
視覚、聴覚、思索を同時に尖鋭化できる稀有の映画。
ヨーロッパの厚みに心地よくやられる(屈服)。

 

☆東京物語(監督:小津安二郎)
熱海の海辺での老夫婦のシーンが理屈抜きに好き。
ふたりで見た風景はどこまでも透明で穏やかに
終局に向かってFADE  OUTしていたはずなのに。

 

☆ラ・パロマ(監督:ダニエル・シュミット)
映画でしか流れない時間が閑かに激しく流れている。
ファウストに魂を売ってしまいそうになる怖い映画。

 

☆冬冬の夏休み(監督:ホウ・シャウシェン)
畳の跡をほっぺにつけて、さやさや風を感じながらまどろんだお昼寝。
子どもの目線と感覚で夏の風景がよみがえる。

 

☆白い町で(監督:アラン・タネール)
漂泊への憧れと自己消失の不安との間で揺れる、
どこか遠くをさまよったような感覚がたまらない。

 

☆シテール島への船出(監督:テオ・アンゲロプロス)
「越境」ということを経験できない島国育ちの自分を認識し、
どこを見てもアンゲロプロスとしか言いようのない世界観に
ためらうことなく埋没できる。